霞が関で実際に行われた改革、その知見をシェアし表彰することで更なる改革を促進する目的で開催されたピッチイベント『第1回・意外と変われる霞が関大賞』。
改革派現役官僚有志団体「プロジェクトK」が主催し、審査員として河野太郎氏、WLB代表の小室淑恵氏、千正組代表で千正康裕氏(元厚労官僚)、オブザーバーとして人事院総裁の川本裕子氏などが参加。
その様子を詳細にお届けします。
多様な人材が力を発揮できる職場づくり
農林水産省 大臣官房秘書課 笠原(以下、笠原氏):農林水産省の大臣官房秘書課のチームでございます。
今回、(農林水産省の)秘書課ということで省を背負って、すごいプレッシャーを感じながら、ピッチをしていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。
笠原氏:農林水産省は、人材の多様化・定着を進めています。
人材の多様化を進めていくのに何が大事かというと、その人たちが『力をフルに発揮できること』、、、それがとても大事なんじゃないかなと思っています。今日はその取り組みについてお話しさせていただきたいと思います。
その前提として、まず『組織の財産は「人」である』。
私は、秘書課の人事、それから採用もやっていますけど、そういったことを考えております。行政組織の財産は、国家公務員そのものだと思ってまして、すなわち人であるとの認識、その人が力を最大限発揮すれば引いては国民の皆さんのためになれるんじゃないか。
そういった想いの中で人事採用をしております。
笠原氏:業務の中で組織の一つを司る大臣 官房秘書課は、行政組織の力を向上させる責務、そのために個々人が成長する環境を整備する責務。
そういったものがあると思ってます。
しかし、組織の”人”に関する現場はなかなか厳しくなってまして、 国家公務員志望者数の減少、これは近年明らかですね。農水省を志望している人もだんだん減ってきてますね。
離職者も増加してます。農水省の総合職事務課の離職率も過去最大になっています。
笠原氏:そういった現状を打破していくために、ピンチをチャンスと捉えることがとても重要だと思っています。
笠原氏:人が辞めてく今こそ多様な人材を採用 して育成していく契機なんじゃないかと。
そもそも農水省は食料を管掌していますので、 全世界、それから地域すべての人に関わるものだと思っています。
なので、多様なフィールドが存在しており、多様な人が働ける環境がある。その中で皆が力を発揮していくことが必要です。
具体的な取組をやっているかご紹介させていただきます。
まず、多様な人材の採用については、中途採用者を増加しています。
笠原氏:平成20年以降からなのですが、相当多くの中途採用者をとってまして、初期に採用された者の中には現在原局(※)の総務課長の立場になっている者もいます。
※原局…官房、筆頭課に対して、実際の行政事務を掌る各局、各課は「原局」(げんきょく)、「原課」(げんか)と称される。
それぞれ多様なバックグラウンドで、金融だったり、メディアだったり、いろんなところから採用してます。
直近令和3年度の内定者、実は総合職の事務官・技官ともに約2割が中途採用なんです。
笠原氏:工夫として、例えば民間企業の転職サイトの活用、それから説明会の開催、そして年複数回の公募など常に転職者に門を開いているような状態にしているなど、求職者のリーチ手法を柔軟に行ったことで、このような結果が出てきていると考えてます。
加えて特定分野のスペシャリストを採用する。例えば デジタル人材。とても力を入れています。
農水省のいいところは、中途採用者がいることが当たり前の環境になってい ます。
加えてメンター制度、何でも話せる環境を作る。我々、秘書課が定期的な人事面談をする。それから同期みたいな存在を作ってもらう。中途採用者だけの会を作る。
要するに誰でも何でも相談できる心理的安全性ということがポイントだと思っています。
そうした機会を複数用意することで、自らのキャリアモデルを可視化していく。
心理的 安全性、キャリアモデルの可視化。この2つが大きなポイントだと思っています。
笠原氏:こうした取組は、中途採用者だけでなく、新卒採用者にとっても大事なので、同じ取組を新卒にも広げまして、 私自身去年から人事をやっていて、一人一人の人事異動に対して「貴方はこういう意図でここをやってほしい」、「こういうふうに成長してほしいです」という意図を正確に伝えていくこともしています。
まだまだできることはいっぱいありますが、1つ1つやっていくことが重要だと思っています。
ご静聴ありがとうございました 。
プロジェクトK 4期副代表 栫井 誠一郎(以下、栫井氏):ありがとうございました。
秘書課自らと いうことで大変ありがたいですね。どんどん頑張っていただきたいと思います。
では、3分間以内で質疑応答に入っていきたいと思います。質問される方は挙手して、、、はい、よろしくお願いします。
自由民主党広報本部長 河野 太郎(以下、河野氏):ありがとうございます。
組織を背負って出て来てくれてありがたいと思います。
ただ、「中途採用を頑張ってます」と言うけど、それは逆に言うと「新卒がとれません」ということになっていないかなと。
中途採用したことによってどういうプラスがあったのか。
その2点をもう少し説明をしていただきたいと思います。
笠原氏:中途採用を取ることのプラスとして大きく2つあります。
一つは、当然ながら中途採用なので即戦力を採用しているという点だと思います。
二つ目として、「農水省自体の文化を変えていただく」というところまで我々は期待をしています。
全体の2~3割が、他社を経験していることで、新しい風が入ってくる。それによって組織自体が変わってくる。
笠原氏:「古い 文化の打破・古いやり方の打破」。そうしたことを中途採用の方々としていけるんじゃないかと思ってます。
そのために我々もともといる人間も変わらなきゃいけない。
「新規採用がうまくいってないんじゃないか」というと、正直それは多少あるかもしれないですけど、新規採用の方も中途採用の方も両方頑張ることによって、農林水産省 自体が前に進むことが重要だと考えています。
栫井氏:続いて小室さん、よろしくお願いします。
株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長 小室 淑恵(以下、小室氏):プレゼン、ありがとうございました。
一人一人 に異動のミッションを伝えるのは決して簡単なことではなく、すごい取組だなと思いました。
お 聞きしたいのは、『多様な人材の採用』というものの、その多様さというのは”働き方”の多様さも受け入れているのか。また、(受け入れている場合)そのためには恐らく現在の管理職が相当変わらないと、多様な働き方の人に本気で仕事を振ることは出来ないと思うんですけれど、そこはどうやって変化しているのでしょうか。
笠原氏: おっしゃる通り多様な働き方もあると思います。
例えば、育児をしながら働いているとか、実は介護をしながらというのも意外とあると思うんですよね。そういった他の要素がある中でそれでもやっぱり公務の担うところはしっかり頑張っていく、そういったところ我々も重視していかなきゃいけないなって思っております。
一つやってるのはそういった方々のお話を聞く機会を我々が環境としてセットして、「こういう風な働き方ができるよ」というのを伝えていくという取組があります。
二つ目としては、そういう人たちをある意味特別扱いしない、お客様扱いしないで、 ちゃんと公務の中で働いていただく。
ただ、そういう事情は絶対周りにも知ってもらって、 みんなで組織としてやっていくことが大事と考えております。
そうした多様な働き方が、当たり前になっていくよう改革をしているところでございます。
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・記事協力:プロジェクトK
・編集・デザイン・ライティング:深山 周作