「トップが変わっても変革を止めない」、環境省の働き方改革

霞が関で実際に行われた改革、その知見をシェアし表彰することで更なる改革を促進する目的で開催されたピッチイベント『第1回・意外と変われる霞が関大賞』。

改革派現役官僚有志団体「プロジェクトK」が主催し、審査員として河野太郎氏、WLB代表の小室淑恵氏、千正組代表で千正康裕氏(元厚労官僚)、オブザーバーとして人事院総裁の川本裕子氏などが参加。

その様子を詳細にお届けします。

※本記事は、原則全文書き起こしとなりますが、イベントや話者の意図が一層伝わるように、主催者の了承のもと、一部(事務連絡、言い淀み、繰り返しなど)編集を加えております。
※文中の話者の肩書は、イベント当時のものとなります。また、発言は個人の意見であり、所属する組織に帰属するものではありません。

「選択と集中」で、政策も、働き方改革も最大化する

プロジェクトK 4期副代表 栫井 誠一郎(以下、栫井氏):最後の発表、「環境省の働き方改革〜多様なアプローチで意外と変われる?〜」となります。

環境省 有志 福嶋 慶三(以下、福嶋氏):はい、福嶋です。環境省の働き方改革をご紹介させてください。

福嶋氏:資料は秘書課から貰っているのですが、本日秘書課の人間が誰も都合がつかないので僕の方からご紹介させてください。

今日の発表は有志ということになりますが、内容的には環境省でやっていることですので、先ほどの国交省の方や農水省の方と一緒で、省を背負ってますのでよろしくお願いします。

僕自身は、環境省の近畿事務所で働いております。なので、Web参加になります。

福嶋氏:働き方改革はですね、かなり長い間自分の問題意識もあって関わってきましたので、その辺りの話をしたいと思います。

キーメッセージ3つですね。

福嶋氏:一つは組織改革に銀の弾丸はない。また、1回やってなかなか手応えがなくても諦めないことも大事かなと。あとはトップダウンとボトムアップの融合が大事ということをお伝えしたいなと思います。

20年ぐらい働いているんですけども、2003年度、2009年に環境省を変える若手の会をやってまして、色々成果はあったんですが、組織的に変わっていくところまでいかなかったなと。

2016年に働き方改革推進協力チームということで秘書課長のリーダーシップのもとに庁内公募で有志のチームメンバーを募って、正規チームと有志の職員が連携協力する体制が一気に進むようになっていきました。

福嶋氏:そのあと、小泉前大臣が来られまして、そのリーダーシップを発揮されたことによって中堅・若手・幹部もトップダウンとボトムアップの絶妙な融合が形になって、ある程度改革が進み始めていることに繋がっているのかなという気がしています。

福嶋氏:この選択と集中というものなんですけれども、良い政策を作っていくための働き方改革をしている。で、その働き方改革をいくつかご紹介しますと一つは環境省全体をティール組織にしていこうということと、省内公募で色々なポストをオープンにして省内から公募しています。今は私も近畿事務所にいますけれども、これも公募でオープンに募集をしているポストですね。

あと、テレワーク、オフィス改革の推進、あと当時の小泉大臣が率先してオンライン会議等をどんどん導入しました。

福嶋氏:笑い話にはなりますが、2年ぐらい前に小泉大臣が閣議後に他の大臣たちと幹部との会議をどれくらいの人数でやっているかという話題になった際に「5、6人とか少人数でやってますかね」みたいに言われる中で「うち(環境省)は50人ぐらいでやってますよ」と言ったので、「環境省大臣室の会議室って、そんなに広かったっけ」みたいな話になって、「いや、オンラインでやってますよ」みたいな会話になったそうです。

2年前はまだオンライン会議の導入も進んでいなかった中で、風穴を空けていただいたのは非常にありがたかったなというところです。

あとは男性育休とかLGBTQの対応も進めています。

また、オフィス改革についてご紹介させてください。

福嶋氏:面白いところとしては、局長室等の会議テーブルをぶった切ってしまって別個室に分離して、「応接スペースとか会議スペースはもうみんなで共用しようよ」ということをしていて、それでだいぶ働く場所や会議室の確保も出来たかなというところです。

福嶋氏:20%ルールもよくお問い合せいただきます。これは環境省では、外で活躍している人も多いんですけれども、正面から時間内であっても、上長の許可があれば、仕事の時間内でやってもいいということで、働き方改革に資する取り組みだと思っています。

福嶋氏:最後に、業務改革推進室というものができました。これは先ほど申し上げた有志と正規のチームを融合させて前に進めていくための組織ということで、この4月から取り組みをさらに力を入れているところになります。

福嶋氏:その他、最近国会改革とか省内全体のIT改革も進めております。よろしくお願い致します。

以上になります。

栫井氏:はい、福嶋さんありがとうございました。続いて質疑応答になります。審査員の皆様いかがでしょうか。

自由民主党広報本部長 河野 太郎(以下、河野氏):トップダウンとボトムアップという話がありましたけが、環境大臣が変わると働き方改革が戻っちゃったり、停滞したりすることもありそうですが、大臣が変わっても継続できるような仕組みが必要なんじゃないかと思いますが、どうでしょう。

福嶋氏:おっしゃる通り、実は小泉前大臣や我々が一番心を砕いたのが、まさにそのことで大臣交代公邸の引き継ぎの時にも資料に入れていただいたり、よくよくこの働き方改革が後ろに戻らないように引き継ぎをいただきましたので、ありがたいことに続けられております。

栫井氏:はい、もうお一方ぐらいどうでしょうか。はい、小室さんお願いします。

株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長 小室 淑恵(以下、小室氏):大臣のマインドを省庁の働き方改革に向けていくためには、自民党が何をしたらいいかをぜひ河野さんに伝えて頂ければと思います。

福嶋氏:ありがとうございます。僕なんかが大変僭越なんですが、最近その自民党の中でも若い議員の方とかは非常に働き方改革、特にオンライン化に対して非常に意識が高いので、例えば我々に来られる政務官も多いんですけれども、もう自分から率先してやっておられますので、世代的なところもあるのかなと思いますね。

なので、若い世代の青年局とかもあると思うんですけれども、若い世代の議員の方から年次の上の先生方にも広めていって頂ければありがたいかなと思います。

栫井氏:ありがとうございます。あと1分です。

株式会社千正組代表取締役/元厚生労働省官僚 千正 康裕(以下、千正氏):大臣が代わっても継続的に取り組むための仕掛けを続けているということだと思いますけれども、言ってみれば地道な取り組みが大事だと思っていて、そこを評価しています。

それで少しポップな質問をしますけど、「本当はこれ変わったら一番いいな」というものはありますか。

福嶋氏:その意味でいうと、「最後の砦は国会かな」と思っています。

いま、私は地方にいるんですけども、地方議会だと結構変わってきていて、もうタブレットとか当たり前になってきていたり、本当に色んなことがオンラインも含めて当たり前になってきているますし、全国で進んでいる地方議会の取り組みなどを参考にしながら、国会改革やって頂けると前に進むんじゃないかなという気がしております。

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・記事協力:プロジェクトK
・編集・デザイン・ライティング:深山 周作