【2022年度も継続】”地域の課題”と”企業のノウハウ”のマッチング多数、新たな産業振興を生み出す「チャレンジナガノ」|チャレンジナガノDEMODAY#4

長野県庁が主催(運営事務局:株式会社Publink)する、長野県内の市町村が抱える課題を、多様な企業とのオープンイノベーションによって解決する取組おためし立地 チャレンジナガノ事業(以下「チャレンジナガノ」という。)」

総勢60者の企業から応募があり、初年度にも関わらず、多くの官民連携プロジェクトが生まれました。その成果を発表するDEMODAYが、2月14日に開催されたので、その様子をレポートしていきます。

※本記事は、原則全文書き起こしとなりますが、イベントや話者の意図が一層伝わるように、主催者の了承のもと、一部(事務連絡、言い淀み、繰り返しなど)編集を加えております。

【諏訪市】首都圏・海外の12社から、熱心なアプローチ

栫井:では、続けてパートナー枠の市町村さんたちの取組ということで、それぞれ官民でマッチングして頂いて進めていただいています。

順序は、諏訪市さん、長野市さん、山ノ内町さん、そして飯綱町さんという順序でいきたいと思ってますので、さっそく諏訪市さん、ご準備できましたらよろしくお願いします。

諏訪市 産業連携推進室 茅野氏(以下、茅野):ただいまご紹介頂きました諏訪市役所産業連携推進室の茅野と言います。私からチャレンジナガノ事業での諏訪市の事例につきまして、報告をさせていただきます。

諏訪市は、 南北に大きい長野県のほぼ中央部に位置する高原湖畔都市でございます。

伝統的に精密機械工業と観光業が併存する地域の特色を生かしまして、地域ブランドであるSUWAプレミアムを展開してございます。

茅野:平成26年度から展開しているブランドになりますが、それに応じて地域課題も生じてきていまして、まず参加希望者が増えるのはとてもいいことなのですが、マネジメントが難しい点が課題です。

また、ブランドですので、デザイン面も、もっとブラッシュアップができればいいなという課題も生じてございます。

茅野:そういった課題を今回のチャレンジナガノにおきまして、パートナー枠ということで採択いただきまして、市外の企業様と結びつく機会を頂くことができました。当初は、「数社ぐらいあれば御の字かな、ありがたいなぁ」と思っていたんですけれども、予想に反して、首都圏はもちろん海外を含めて12社の皆様から、熱心なアプローチを頂きました。

本当に皆様ありがとうございました。

茅野:企業の皆様方からは、「学生の時に諏訪市に行ったことあるよ」とか、「首都圏に近いよね」、「SUWAプレミアムの商品も既に購入しました」などのコメントも頂戴しまして、「非常にありがたいなー」と感じております。そこで皆様の熱意に応えるべく、諏訪市では全12者様とヒアリングをしました。

皆様方から大変興味深い意見をいただきまして、判断に迷いまして、嬉しい悲鳴といいますか。。。ただ、当然、全社とマッチングというのはこちらのマネージメントが出来ないものですから、ポイントを絞ってこちらの方で判断させて頂きました。

ポイントとしては費用感、それからブラッシュアップ支援が可能か、そして地域の私どもの関係者と一緒に参画しながら将来的にサテライトオフィスなど、諏訪市と繋がる可能性があるか、これら三つのポイントを中心に判断させていただきまして、その中で絞り込んだ事業者様と2回目のヒアリングを行いました。

茅野:2回のヒアリングを行った結果ですが、当初抱えていた課題が、意見交換を重ねる中で、だんだんとブラッシュアップされクリアになっていたことが、メリットかなと思ってます。

ブラッシュアップされた課題ですが、一つ目『マーケティング予算人員の不足』、二つ目『販路が不足している』、三つ目『認定品の選定回数・手段が限定的』、四つ目が『ネット上のニッチなファン層へのPRの不足』と、①〜④までの課題がクリアになりました。①から④、いずれもですね、私共地域関係者独力では対応が困難かなと思っております。

茅野:そこで、このクリアになった課題に対応するために、現在では2社様と直近でプロジェクトの可能性が生じてきてございます。

まず一社目がNAVICUS様でございまして、こちらは先ほどの課題に対応する①から③までの中で、三つの提案をいただいております。戦略的なSNSの活用によるマーケティング、地域のファンがすでに存在するルートからの販路開拓、そしてアンバサダー施策の実施でございます。

で、もう一社、アンテナ社様は4番目の課題についての提案ということで、国内外の市場に対してニッチ需要やエンゲージメントを高めるWEB戦略を展開するというような提案をいただいています。

茅野:こちらの提案に基づきまして、令和4年度から具体的な連携ができればということで、今のところ協議準備を進めている段階です。また、残りの10社様につきましても、長期的・将来的な可能性も踏まえて、新たな 関係性が構築できるのではないかなということで、今のところを考えております。

 チャレンジナガノに今回参加させていただいてみた感想なんですけども、まず先ほどの課題なんですが、以前から課題としてありまして、SUWAプレミアムの関係者内部で協議はしていたんですけども、どうしてもネガティブになってしまったり、また「これ言いにくいな」って点もあったんですね。

ただ、そこに外部から非常に多くの方に興味を頂きまして、意見交換もできましたので、皆様からご評価を頂いたってことはこちらにとっても非常に参考になった、客観的な声が聞けたという事がメリットとして考えられております。

最後になりますけれども、このSUWAプレミアムの活動が評価をいただきまして、1月31日付けで産業観光まちづくり大賞の経済産業大臣賞を受賞しました。今後もですね、受賞に当たってはビジネスモデルが評価されたので、活かしていきたいなというふうに考えております。私どもの発表は、以上になります。ありがとうございました。

栫井:どうもありがとうございました。

なので、短期でも2社が諏訪市さんと進んでいて、他の10社さんも長い目で関係を作っていただいています。ちなみに、あの諏訪市の茅野さんはですね、多分このプログラムでプレゼン能力が最も上達された方なんじゃないかなというふうに思ってます。

茅野:ありがとうございます、恐縮です。

【長野市】スマートシティを旗印に16社が新たに参画

長野市 商工労働課 吉澤氏(以下、吉澤):あらためまして、長野市商工労働課の吉澤と申します。

パートナー枠として今年度実施した長野市の内容について簡単にご説明させて頂きます。1998年に冬季オリンピック・パラリンピックを、白馬村さんとか山ノ内町さんなどとも協力しながら実施いたしました。今の北京オリンピックの盛り上がりを見て、非常に懐かしい想いをしております。

長野市が今回チャレンジナガノに出した課題なんですけれども、前提として、スマートシティの推進をやっていこうと。

吉澤:人口が減少する2040年、生産年齢人口が大きく減少して行く中で、市内の経済規模の維持・成長を図っていくために、長期戦略2040を2年前に策定いたしました。外部人材を入れて策定したんですが、どうやって推進して行くか、その旗印としてスマートシティというものを掲げました。

経済規模の維持成長ですので、既存企業の成長はもちろんなんですけれども、社会課題の解決につながるような新産業の創出が必要だということが挙げられています。

スマートシティを旗印にして推進する方法として、オープンイノベーションという方法を採ることになっています。まず長野市が持っている強み、昔からの産業ですとか、あと大学等の強みを生かすということは勿論、それだけではなくて、産学官連携で組織をつくって推進していこうという話になっております。

その強みを生かす中で、重点推進分野として、こちらの『防災・減災』ですとか、『フードテック』、『ヘルステック』、『ゼロ・カーボン』、『モビリティ』などを掲げまして、その中で4つを今回のチャレンジナガノの課題として提出させていただきました。

結果として、27社の方に関心を持って頂き、面談等させていただきまして、私の方でNAGANOスマートシティコミッション(NASC)のご紹介をさせて頂いて、スマートシティを推進する組織に16社にご参加を頂いたということで、非常に感謝しております。

吉澤:NASCの概要ですが、産学官連携の推進組織ということで、全体を統括するプロジェクトマネジメントオフィス、外部人材を入れたアーキテクトチーム、それから市役所が中心になっているアーキテクトチームスタッフ、これらを設置しているんですけれども、参加企業さんには、テーマ別ワーキンググループに入って頂いてプロジェクトを組成して、実際に推進して頂くというような形になります。

今年度の具体的な取組は、先ほどのNASCが、まだ組織が10月に出来たばかりのため、まだこれから取組を進めていく形となります。会員企業同士のマッチングを推進するためのサービスや技術紹介などの機会が設けられて、そこにも参加していただきましたし、また、今日締め切りでプロジェクトの提案等もされています。

またNASC以外でも、株式会社wipさんが、女性のコミュニティを推進しているということで、長野市内のBiotope(ビオトープ)という元気な女性が集まってるコミュニティが最近できましたので、そちらと繋いで、連携等を進めて頂いているという状況です。

今後に向けてNASCに関しては来年度以降本格化するということで、引き続きワーキンググループに入って、その中で勉強会等に参加して頂き、プロジェクトを起こして頂くという流れになっていくと思います。また、ビジネスコンテストなども行われる予定です。

以上です。

栫井:はい、ありがとうございました。

皆さんスマートシティの協議会で次に進んでいますし、実は吉澤さんは一人で27社の面談も進めて、非常にパワフルに推進して頂きました。

では、次に山ノ内町さん。冬の圧倒的なブランドである志賀高原をお持ちでいらっしゃいます。ご準備できましたらよろしくお願いします。

【山ノ内町】年間200万人も訪れる志賀高原の更なる魅力アップに、21社が申し込み

山ノ内町 観光商工課 堀米氏(以下、堀米):山ノ内町観光商工課の堀米と申します。

堀米:まず、志賀高原ということで、概要の方を説明させて頂きます。

1980年、ユネスコエコパークに指定された、環境を大事にする町、エリアというような形でございますが、ウィンターシーズン約100万人、グリーンシーズンも100万人、年間約200万人が訪れ、麓にはスノーモンキーなどの外国人のキラーコンテンツを有する湯田中渋温泉郷を有するというような形の志賀高原でございます。

出典:志賀高原|公式サイト

堀米:まずテーマとしましては、『志賀高原の観光地としての価値向上』というようなテーマを持ちまして、「ぶっちゃけ志賀高原で事業をしませんか?」と、今回、皆様と面談をさせていただきました。

堀米:多様化する観光ニーズということで、昔からある冬はスキー、夏はトレッキングというような形だったりとか、志賀高原も非常に修学旅行等の団体旅行、いまだに来て頂いています。一方で、コロナ禍もありまして、個人旅行のニーズの増加というような状況も出てきております。

また、細分化されるコンテンツということで、ツーリズム、スキーだけじゃなく、自転車、写真、環境だったりとか、そういったところの多様なツーリズムが出てきていると。

また、急増する外国人観光客ということ、夕食難民が出ているというようなところ、「食の魅力向上も必要だよね」ということで、宿泊施設とレストランをセパレートすることによる満足度の向上、「専門店の誘致なども必要だよね」というようなことでの課題もありました。

オールシーズンリゾートとしてのスタッフの生活の場の創出、まちづくりのインフラ整備も必要だというようなことで、コンビニ・銀行など町の機能を果たすことで、両者のサービスを向上するというようなことが課題になっており、この課題をビジネスチャンスとして、皆さんに協力頂ける企業の方、いらしてくださいということでやらせていただきました。

で、山ノ内町の方に21社からお申し込みを頂きまして、11社と連絡を取らせていただき、10社と面談を実施しました。

堀米:最終的に3社の皆さんと継続して取組を行っていますが、地元、志賀高原の観光協会、また山ノ内の観光商工課、また役場の中で事業に応じて、内容に応じて関係部署に同席頂きまして、志賀高原の現状・企業のコンセプト実績等を懇談の形でやらせて頂きました。

回数については1~3回、 時間とすれば大体90分程度というような形でやってきております。

企業連携に向けて、うちの方では、国の事業で撤去した廃屋跡地の有効活用、こちらについては地権者、志賀高原の地主であります和合会さんとのマッチング。

また、志賀高原における未利用地の有効活用ということで、こちらも和合会さんとのマッチング、ホテル等の遊休スペースについては観光協会さん、旅館組合さんとマッチングさせていただくことでお店の方へご紹介していこうというような形で今動いております。

企業連携における支援制度も、「山ノ内町の空き家等再生補助金ありますよ」というような形で、それぞれご紹介をしております。

堀米:チャレンジナガノに参加して、皆さんと 非常にいい繋がりを持てたのかなと思っております。また、来年度も引き続きやっていきたいと思っておりますので、皆様よろしくお願いをいたします。

栫井:どうもありがとうございます。志賀高原のオープンイノベーション、非常に魅力的な形でございました。

では、トリを私も三週間滞在させて頂いた飯綱町さん、素晴らしい場所でした。ご準備大丈夫でしょうか。

【飯綱町】農業の課題解決に向けて、8社と面談を実施

飯綱町 産業観光課 渋澤氏(以下、渋澤):飯綱町 産業観光課の渋澤と申します。

渋澤飯綱町は、リンゴの特産地ということで非常に有名な地域ですが、多くの分野で課題を抱えており、これまで様々な地方創生の取組をしてまいりました。

渋澤:特に、小学校の統合を契機として廃校舎の活用と地域活性化を組み合わせることで、仕事を生み出し、地域に若者、それから女性の活躍する場所をたくさん作っていこうという取組を進めてきました。

小さな商いを沢山地域内で作っていきながら、コトとヒトを繋げていき、また新しい仕事を生み出す。そしてまた人材を育成していくと。そういう機能を町の中につくっていきたいというのが、考え方のベースにあります。

渋澤:そんな時に今回のチャレンジナガノの話があって、私は昨年から農政担当をしているのですが、農業分野においては、所得が減少しているという課題があり、それをどう上げていくか。担い手の不足であったり、商品化力であったり、販売化力が脆弱だという面がありますので、そういった部分を民間の力を借りて、新しいことを始めていきたいというのが、今回応募したきっかけでした。

渋澤:マッチングの概要ですけれども、8社と面談につながりました。先月末までに7社、来週頃に先ほども出ていましたおてつたびさんとお話をさせて頂くような時間をとっております。

今後は、数社さんと具体的に次のステップに進みたいなと考えております。

渋澤:企業さんと繋がることで感じたメリットは、(スライドに)記載の通りですけれども、地域の社会課題をビジネスの手法を用いて解決していこうという話って、行政だけではなかなか出来ないですし、私はそういう新しいことが好きなので、すごくワクワクします。

民間の方たちと一緒に地域のことを考えるという、そういうことができるだけでも、すごくいいことだなと思います。中長期的な目で見ていけば、その地域に新しい仕事を生み出していったり、または企業さんが進出してもらって、更に新しい仕事、それから雇用なんかも生まれていくみたいなことに繋がればすごくいいなあと思っています。

渋澤:今後の予定は、1社さんとはバイオスティミュラントという技術を使って、減農薬、減化成肥料の取組の農法を来年度に実証実験としてやりたいと思っております。

また町では様々な取組をしているのですが、これまでの事業や取り組みと組み合わせる形で、農産物の付加価値化、プロモーション、販売力向上、あるいは労働力の確保、農業人材の育成といった取組を幾つかの事業者さんと一緒に取り組んでいき、さらに加速させていけたらいいなと思っています。

最後に、チャレンジナガノ応募しての感想なんですが、それぞれの自治体の皆様がおっしゃっていた通り、非常に興味深いお話を聞けたり、あるいは色々なノウハウを持たれている事業者さんと接点を持てたので、凄く楽しかったですし、今後繋がっていくことができるのかなという期待感がございます。

渋澤:一方、私たちの町は、実はすでに多くの事業者さんと、地方創生の取組をしてきてますし、そこもかなり広がっている状況です。先ほど申し上げた廃校活用の成果として、様々な事業者さんに入居いただき、繋がりを作ってる最中です。

今回の応募企業の皆様と現在取り組みを一緒に進めている事業者との提案内容などを見ると、かなりその内容や進め方が近しいものも多いので、そうしたところの調整や進め方などが、少し難しいところがあるかなと思っています。

将来的には企業さんに進出してもらったり、町内の事業者さんや住民の皆さんとの連携構築をどう進めていくかというところが、一番大事なポイントだと思っていますので、今後も様々な事業者さんやこれまで関係をつくってきた方々との繋がりを継続し、更に発展させていけたらいいなと思ってます。

来年度も続くチャレンジナガノに、官も民も大募集!

栫井:はい、どうもありがとうございました。というわけでですね。最後2分、今後の展開についてお話をしていきたいと思います。

来年度以降も継続的にこのチャレンジナガノを進めていくことになっています

栫井:今回、発表していただいた皆様のプロジェクトは複数年あるうちの、まずは初年度ということで素晴らしい最初の実績であり、どんどんコミュニティとして官民に広がっていく最初の熱量を生んでいただきました。

来年度からどんどん広げていきたいと思いますので、ぜひ「ここに絡んでいきたいよ」とおっしゃって頂ける官と民の方々、大募集でございます。

来年度は3、4月頃に市町村さんのお題を募集し、そこで企業さんに対する説明会、おそらく夏ごろにして、その後企業さんにエントリー頂いてマッチングしていく。。。そしてちょうど一年後には、また次回の発表会ということになろうかと思っております。

栫井:最後に室賀さんから、コメントお願いいたします。

室賀:非常にこの半年間、取組がどんどん生まれてきていて、我々長野県としても「どんだけ処理していけばいいのか」となりながら、本当にワクワクした半年間でした。

室賀:来年度も予算については確保できそう(注:記事公開時点で、既に2022年度の公募準備が進んでいる)ですので、これから議会の承認を頂いて、同規模で実施をしていきたいと考えていますので、企業の皆様、ぜひ応募お願いしたいと思います。

また、市町村の皆様、無茶なテーマでも構いませんので、ぜひ検討いただいて課題出していただければと思います。

今後ともよろしくお願いいたします。

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・記事協力:長野県庁
・編集・ライティング・デザイン:深山 周作