この記事の目次
長野県庁が主催(運営事務局:株式会社Publink)する、長野県内の市町村が抱える課題を、多様な企業とのオープンイノベーションによって解決する取組「おためし立地 チャレンジナガノ事業(以下「チャレンジナガノ」という。)」。
総勢60者の企業から応募があり、初年度にも関わらず、多くの官民連携プロジェクトが生まれました。その成果を発表するDEMODAYが、2月14日に開催されたので、その様子をレポートしていきます。
※本記事は、原則全文書き起こしとなりますが、イベントや話者の意図が一層伝わるように、主催者の了承のもと、一部(事務連絡、言い淀み、繰り返しなど)編集を加えております。
プログラムに『60者から157提案』が殺到
Publink 代表 栫井氏(以下、栫井):きょうは(チャレンジナガノDEMODAYに)約180名のエントリーを頂いています。
私、きょう司会させて頂く(運営事務局の)株式会社Publinkの栫井と申します。
どうぞ宜しくお願いいたします。
これから2時間、「チャレンジナガノ」の成果発表会をさせて頂きます。
8市長村さん、60者の企業さんに参加頂き、全ての企業さんが何らかのマッチングして、全部進んでいる脅威のプログラムになっています(笑)
それでは、はじめに長野県庁から室賀さんよろしくお願いいたします。
長野県庁 産業立地課 室賀氏(以下、室賀):きょうはチャレンジナガノのDEMODAYにご参加いただき本当にありがとうございます。多くの方に興味を持ってもらえたことが大変嬉しいです。
室賀:このDEMODAYは、栫井さんの方で「長野の官民連携最前線」と銘打っていただいて、すごくキャッチーな感じにしていただきました。我々もこれに共感しております。
今年、色々挑戦をして頂いた市町村様そして今日の企業様のプレゼンがあるのですが、すごく山あり谷ありの中、すごく(プロジェクトを)進められていたというふうに思ってます。
私自身がいずれのプロジェクトにも、ワクワクして、これからどうなっちゃうのかなという感じで楽しみにしておりますので、発表者の皆さん、宜しくお願いいたします。
私からは、来年度に向けた事業のご説明をさせていただければというふうに思います。
我々長野県庁が今年始めた『チャレンジナガノ』では、目指すものがあります。事業の目的は、『先進的なビジネスを皆様と共に作り上げていきたい』ということ、できれば我々の課名が産業立地・IT振興課ですから『長野県にサテライトオフィスでも良いので、来ていただきたい』、これが我々の願いです。
室賀:まず、官民連携のために我々ができることは『企業様がどうやったら儲かるか』ということを、真剣に考えることだと思っています。そのため、まずは当たり前のことなんですが『ちゃんとお話を聞く』と。
さらに企業様の利益最大化をどうしてくかを考えていくと、当然行政に対する受託もあると思いますし、民民の取引でも、できることが沢山あると思っています。
また、我々は地域、各団体とのネットワークもありますので、そこへの繋ぎ込みもやっていきます。本日プレゼンいただく色々な事業が、これから官民連携の本当のモデルになっていけば、我々も一緒に県外の他地域への横展開やグローバル展開をしていけるように支援をしたいと思っております。
室賀:色々言いたい放題言っているんですが(笑)、長野県の強みは、『住みやすい』ということ、『製造業で世界トップクラスの企業が集積』していることだというふうに自分達は思っております。
近年は、クリエイティブな企業さんも沢山来ていただいております。加えてですね、我々『信州ITバレー構想』というのを2019年に策定しておりまして、「産学官が連携し、ITビジネスの創出を促すエコシステムを開発するぞ」という非常に高い目標を持っております。
室賀:いずれのプロジェクトもITは必ず不可欠だと思いますので、そういった事業については、助成金も含めて、全力で支援をさせて頂きたいと思ってます。
本日は、皆様方、プレゼンテーションを聞いて頂いて、またぜひ来年度の地域課題解決、ビジネス拡大の両立を共に実現して頂きたいと思っています。
宜しくお願いいたします。以上です。
栫井:室賀さん、どうもありがとうございます。
では、早速本事業の詳細を説明させて頂きます。『チャレンジナガノ』は、長野県庁さん主催ですが、市町村さんが本当の主役というプロジェクトになっています。
栫井:ただ、市町村さんが県外の企業さんとオープンイノベーションをして、長い目で企業進出、企業誘致を進めていこうとなった時に、市町村さんの単独のネットワークでやっていくのは、やっぱり大変なんですよね。
なので、まず市町村さんが地域の課題を、長野県庁さんに提案して、それを事務局と一緒にどうすれば企業さんにとって「ビジネスメリットが伝わるか」といったことを一緒に考えて、県外企業さんのソリューションを募集して、お見合いして、マッチングして、そこでうまくいったところをハンズオンして一緒に進めていく、、、というのが大きな流れになってます。
栫井:なので、三人四脚みたいな感じのプロジェクトですね。
よくあるオープンイノベーションプログラムは、「採択されると300万円出る」とか、お金の支援があるので、お金が切れた瞬間にみんないなくなるっていうことも聞いたりするんですけど、このプログラムは、重点推進枠のハンズオン支援企業に選ばれても滞在費20万ぐらいしか出ないんです。
にもかかわらず、(企業数で)60者、提案数だと157件(※)が集まっていると。しかも、各プロジェクト進んでて、本当に素晴らしいプログラムになっているなというふうに思います。
※ひとつの企業が、複数市町村に提案している件数を含む。
今日はその秘訣をお伝えしつつ、来年度もぜひやりましょうって話をしていきたいです。ちなみにこちらがその参加いただいた企業さんの基本属性ですね。
栫井:首都圏の方々、そして大企業の方々が非常に多いので、やはり市町村さん単独だと、なかなかアクセスできないところに行けてるんじゃないかなというふうに思いますし、あとポイントとして長野県内さんにすでに拠点を持っている企業さんもそれなりに応募していただいています。
Publinkでは、事務局として「官と民の理想的なマッチング相手を探すのが大変…」とか、「マッチした後の進め方にギャップがある…」とか、両者の課題とビジネスメリットがWinWinになる組み合わせや仕組み化を支援しています。
栫井:プログラム全体としては、市町村さんに応募して頂いて、企業さんに応募して頂いて、それらをマッチングして、コミュニティ化して、プロジェクト支援するという全体の流れになっています。
その中でも3団体の市町村さんが重点枠として、それぞれ3社ずつマッチングし、3市町村×3社で9件のプロジェクトには、事務局や長野県庁さんも毎月のミーティングに入って、ハンズオン支援もさせていただいています。
残りの5市町村さんも、色んな企業さんと繋がって頂いていまして、とある市町村さんでは、二十数社と面談したりと、パワフルに進んでいます。
あと、これも特徴的なんですが、参加頂いている市町村さんに(本プログラムの企業募集イベントで発表するために)ベンチャー向けピッチ研修をワークショップ形式で提供したりもしました。
必ず、『官と民が上下じゃなくフラットにやる』ところがポイントになってます。
『リバースピッチ』という形式で企業さんに対して市町村からの課題と熱意を伝えるための説明会を行ったり、Slackで官と民の方々125人に入って頂いてコミュニティ化したり。。。それによって官×民の新しい繋がりだけじゃなくて、民×民の企業同士の繋がりも複数生まれていたりとかします。
栫井:それでは、実際に本プログラムに重点推進枠として参加頂いた飯田市さん、辰野町さん、白馬村さんにプレゼン頂いた後、パートナー枠の市町村さんの5市町村のうち、今回は4市町村さんにプレゼンをして頂きます。
【飯田市】主要産業である製造業にDXを!
飯田市 工業課 平沢氏(以下、平沢):はい、飯田市工業課の平沢です。きょうはよろしくお願いいたします。
平沢:飯田市は長野県の南に位置し、人口約10万人の地方都市です。将来的にはリニア中央新幹線の長野県駅設置が予定されており、交通アクセスが劇的に変化する予定という地域になっております。
平沢:今年度の飯田市で取り組んだ課題は、主要産業である製造業でIT技術導入などによる生産性向上が必要となっているが、中小企業が多く、「ITリテラシーが低い」、「システム化のメリットが見えない」、「何から取り組めばいいのか分からない」などといった理由により、進んでいないという状況があります。
また、ソフトウェア産業が少なく、若年層における働く場がないというような状況があります。
平沢:当地域で、このチャレンジナガノでお示ししたメリットは、エス・バードという支援施設を中核とした産業支援機関による全面的な支援ができるという点であります。販路開拓、人材育成、地元企業との接点作りを公益財団法人南信州飯田産業センターが支援をさせていただきます。
企業進出後の支援も手厚いのが当地域の特徴です。
平沢:チャレンナガノで当市が目指したものは、「製造業でDXを進めたい」という、大きなチャレンジです。具体的には、製造業でのIT技術を活用した生産性向上への取組。
ソフトウェア産業の誘致を進め、地域内での事務系職場の増加と誘致した企業が地域内ベンダー企業として製造業を支援できるケースを増やすことです。
平沢:今回応募いただいた企業様の中でハンズオン支援する企業として三社を選ばせて頂いておりますが、その理由としましては、製造業の経験、導入実績等が豊富ということと、中小製造業に対する理解・実績があったという点。また、大きな課題でありますけれども、製造業での人材不足。。。こういった課題に対して寄与できる内容であった点。また、提案内容が具体的で分かりやすかったという点があります。
最後の点につきましては、ハンズオン支援の企業様は書類選考の時点でも具体的な提案を色々していただいたということがございます。
中長期的な取組が必要となる中で、今年度の取組を検討させていただきました。
まずは、DX化の必要性や事例・手法を知るために、製造業と地元中小企業向けの意識啓発としてセミナーを開催しました。エス・バードでの講座など既存の枠組みにより企業へ周知が可能であり、金融機関、商工会議所、中間支援組織を含めた情報および認識の共有も目的としました。
これらの事業検討を行う中で、地域企業主導の製造業DXに向けたワーキンググループの立ち上げという動きも出てくるといった効果もありました。
本年度に実施した内容としましては、後程各企業の皆様からも発表いただきますが、1月の26日にJOINS様と副業人材を活用したセミナーの開催、2月7日にはものレボ様、アルム様と一緒に製造現場のDX、工場へのAI導入といった生産性向上セミナーの取組を行ないました。
また、当地域の取組としましては、DX推進ワーキンググループの立ち上げに向けたセミナーというものも、2月に開催しておりまして、次年度以降の取組に繋げるような形で事業を行っております。
多くの皆様にご協力したこと、感謝申し上げます。前段の説明としては以上となります。よろしくお願いします。
栫井: 平沢様ありがとうございます。はい、では続いて、ものレボ様からお願いいたします。
【飯田市×ものレボ】製造現場を一元的に管理する『ものレボ』
ものレボ株式会社 代表 細井氏(以下、細井):取組報告をものレボ株式会社の代表細井が発表いたします。
細井:まず我々の会社ですけれども、いわゆるベンチャー企業で、ミッションは「日本から世界のサプライチェーンをアップデートする」ということを掲げております。
我々はいわゆるIT企業ではなく、私も含めてほとんどのメンバーがメーカー出身者というところが特徴となっております。
そんな我々が今回ご提案したのは、中小製造業の製造現場を管理するための工場DXツール『ものレボ』です。
細井:特徴は、クラウドで、色んな工場、色んな製造現場を一元的に管理できるというものとなっております。なかなか製造現場というと分かりにくいと思いますので、実際に飯田市内で導入事例がありますので、そちらのお客様の声を流したいと思います。
“動画内音声:一応スケジュールを立てるんだけど、前後の工程がつじつまが合わなくなったりとか、そういった意味で違うやり方に変えなきゃなと思ってて。
うちみたいな、小さい会社でもコスト面や運用的に負担にならないものが無いかを探していたら、ちょうどものレボさんが検索でヒットして、シンプルかつはじめてみても製造業向きだなっていうふうに。
(マスタ設定や操作)も基本的にそんなに難しくはなく、スムーズに使えるようになったんじゃないかなと思います。あと、今の状況と照らし合わせながら、「だったらこういうふうにやっていけるんじゃないですか?」とか、(ものレボから)結構提案をもらってたんですね。この辺はすごい助かったなあ。
今まで(現場に)聞きに行かなきゃわからなかったのに、ものレボを見れば大体どの辺でどうすればいいっていうのを把握できるようになったから、いつやるとか、(そういった調整の手間を)減らせてきてるんじゃないかな。”
細井:(この動画のように)我々のサービスの特徴は、製造現場向けに機能を(使いやすいように)非常に絞って、製造現場の状況が見える化できることとなっております。
今後、より多くの会社様に導入していくことで、我々としては工場を繋げて、サプライチェーンを作っていこうとしています。
細井:そのゴールとしては、例えばとある会社さんが治具を作りたいとなったときに、この県内のDXが進んでいる工場さんの中で、丁度来週マシニング空いている会社さんを検索してマッチングできる。。。というのをやっていきたいというふうに考えております。
なので、その第一歩として、まずは一社一社の現場をデジタル化していこうというのが今年度の取組となっております。
その取組の進捗として、まずは啓蒙するためのセミナーを実施し、ちょうどこれから実際の会社様と接触していくというような流れになっております。
最後に、チャレンジナガノを通して、一番感じたのが飯田市様の動きが非常に速いと。
細井:我々ベンチャー企業なんで、もちろんスピード感っていうのは早い方なんですけれども、それと同じような速さで動いていると。
これは偏に飯田市さんが、自分たちが主体となって動いている。
冒頭、栫井さんの方から丸投げする所が多いってあったと思うんですけれど、そうではなくて、飯田市さんたちが主体で逆にぼくらの背中を押していくような、そういったパワーを感じる取組になっております。
取組は始まったばかりですけれども、これからワーキンググループの設立であったりとか、非常にワクワクするような内容になってくると我々ものレボとしては感じております。
栫井:ありがとうございます。丸投げじゃないのは、本当に大事ですね。では、続きましてJOINS様お願いします。
【飯田市×JOINS】”プロ助っ人”と地方企業をマッチング『JOINS』
JOINS株式会社 山本氏(以下、山本):じゃあ、JOINSから報告をさせていただきます。JOINSの山本と申します。どうぞよろしくお願いします。
山本:弊社は、地域中小企業低価格型副業プロ人材紹介サービス『JOINS』というものを提供しております。
山本:弊社は白馬村に登記している長野県内の企業になります。
従来の正社員雇用とは違って、都市部の優秀な人材を副業人材という形で提供する事でマッチングするようなサービスを行っている会社でございます。
で、今回取組の内容としましては飯田市様から製造業様のDX支援をしたいという話を頂きまして、解決策として首都圏を中心とする都市部のDX人材を活用して、飯田市内の製造業のデジタル化を推進しようというところを、短期的なゴールとして掲げさせていただいております。
山本:合わせてマッチングした後に都市部の人材と長野県内の企業様を繋ぐことができますので、繋がった人材様と企業様を、関係人口として成り立つような所の仮説検証を長期的な取組として両輪で行っていくことを計画しております。
今回は短期的な取組としまして、3月末までに、まずはDX支援のための副業兼業人材を活用して経営課題の解決ができるということの認知度が低いため、そこを周知するセミナーを開催をさせていただいております。
取組の中身としましては、弊社としてすでに9,000名の副業兼業人材の登録がございますので、実際に飯田市様をはじめとする地域の金融機関などが加盟する『I-Port』という組織から地域の企業様にセミナーの集客活動、ご協力を頂きながら、セミナーに集客をして、その中でご興味を持った企業様に、弊社のサービスをご紹介するという流れで取組を進めております。
こちら、1月26日にセミナーを開催しております。イメージとしては、こんな形のセミナーのチラシを作って、周知活動にご協力頂いている形になります。
山本:取組の成果としましては、実際に民間企業様、地域金融機関様含めて12社14名にご参加を頂きました。実際にご依頼頂く企業様よりも地域の支援機関様のご参加が多かったため、個別のご相談は1社のみでしたが、副業兼業人材の市場がとても広がってきていて、成果も出る取組だというところをご参加頂いた支援機関様に周知することができました。
実際、今回ご協力頂いた支援機関様が、次回以降もセミナーを集客する際に取組をご紹介頂ける土壌が整ったというところが、凄く効果が出ているかなというところでございます。
山本:実際に、弊社、今、直近3年間で600件の副業兼業人材のマッチングがあるのですが、大半が地域の支援機関様からのご紹介で、実際に成約が進んでおります。
その取組が、飯田市の中でもI-Portをはじめとする支援機関様の中で取り組めるような土壌が整っているので、そういった仕組みを作ることが、第一回目でできたのが凄く大きな取組の結果かなと思っております。
今回チャレンジナガノとして、得られた結果というところでいいますと、地域の企業様にとって、副業兼業人材の取組は、まだまだハードルが高いものでございます。なかなか民間企業の私共から、直接アプローチをしても、取り組んで頂けないような状況の中で、飯田市様をはじめとして、地域の金融機関様からご紹介を頂ける体制が整ったことによって、1社でも多く、副業兼業人材を候補として、選択肢として挙げていただけるような体制が整ったところが得られた結果かなと思っております。
山本:あわせて、今回の取組でPublink様に間に入って頂き、実際に飯田市様とのコミュニケーションや、会議の進め方のリズムをつくっていただいたことで、円滑にプロジェクトを進捗させることができました。
今後の取組のための土壌を整えることができ、実際に飯田市様とは来年度以降も、継続的な取組として進めていければというお話を進めております。
栫井: はい、どうもありがとうございます。これ皆さん聞かれて分かったと思うんですけれども、飯田市さんの製造業DXという課題に対して、ソリューションを提供する企業さんや人材という切り口の企業さんとか、多方面でコラボレーションが生まれているということでした。
では、アルムさんお願いいたします。
【飯田市×アルム】NCプログラムを完全自動作成『ARUMCODE1』
アルム株式会社 CMO 藤作氏(以下、藤作):私、アルム株式会社の藤作と申します。本日はよろしくお願いいたします。
弊社は、元々自動化装置を製造しているメーカーで、子会社に精密部品加工の会社が秋田県にあり、その会社で少量多品種の部品加工をやっていて、NC工作機械を利用した加工を実施しています。
藤作:この機械を動かすためにNCプログラムを作成しなくちゃいけない、多品種少量生産をやればやるほどですね。
実際、そのNCプログラムの作成にかかるコストが、全体の製造原価の中で非常に大きな比重を占めるということを解決するために、7年掛けて、NCプログラムを完全自動で作成するAIソフトウェア『ARUMCODE1』を開発致しました。
藤作:現時点で、このソフトウェアを二百数十本出荷していますが、全国でもっと多くの加工企業に導入していただくため、三現主義(※)に則って、現場で現物をしっかり見る取組が必要だということで、弊社としては昨年度から色んな全国の自治体とこうした官民連携のスキームでコラボレーションしています。
※机上の空論ではなく「現場」で「現物」を観察し、「現実」を認識した上で問題解決を図る考え方のこと。
藤作:その中で、国内でも精密加工(企業)の集積度合いでいえば、日本を代表するこの長野県、さらにリニアが、8年後に開業する点に着目しました。我々も北陸新幹線が開業して、人の流れ、インフラの変化がビジネスを大きく変えるというのを体感しました。
このため、飯田という場所は非常に大きな可能性を秘めているということで応募し、飯田市さんと製造業DXをご一緒させて頂くことになったということでございます。
1年目は、DXを啓蒙して行くということで、十数社20名ぐらいの方を集めて工場自動化、AI導入に関するセミナーを開催いたしました。
来年度から、実際にモデル企業、複数社に弊社のソリューションを使っていただいて、導入効果を定量的な観点であったり、定性的な観点から検証して、最終的に効果を広く、長野県内に止まらず、全国に発信していくことで、 生産性を向上していくというような事例を作りたいと思っております。
最後に、いま弊社の総代理店が、去年(2021年)12月に出来まして、既に全国でその代理店を通じて販売出来る体制が整っています。
しかし、DX意識の高い会社には(ソリューションが)入っているんですけど、どうしても個々の企業という点の集まりになっていて。。。こういう長野県庁さんの取組をやることで、地域全体に、点ではなく面で、デジタル化を推進して生産性革命を実現する。
そういうモデルを飯田市で作りたいと思っています。以上です。ありがとうございます。
栫井:まさにこういった最先端の技術が入ってくることによって、飯田市の製造業のDXが(対外的に見ても)「新しいね」というブランドを官民でつくっていくということですね。
では、飯田市さんの方から、(いま発表のあった)3社さんと進めてみてどうだったのかをコメント頂きたいと思います。
【飯田市】地域の課題を軸にした産業振興の期待の高まり
平沢:今回、3社の皆様には色々とご協力いただきました。
このチャレンジナガノを通じて、取り組んでみた率直な感想という点ですけれども、まずは残念だった点としましては、オミクロンの蔓延によって、リアルでセミナーを開催したかったんですが、オンライン開催になってしまったこと。
この点は非常に当市としても残念だった点でございます。
ただですね、参加企業様からは、「初めて知った」とか、「自社でも効果的な取組だと思う」、「検討してみたい」といった感想もお聞きできましたので、講演の内容自体については良かったと感じております。
また、副業・DX・AIといった新しい取組も含めてですけれども、まだ関係ないと捉えている企業が多いと思われますので、セミナー等を通じた意識啓発が継続して必要だろうということは感じております。
また、金融機関と中間支援組織の参加が多かったことは、今後の企業参加につながると考えております。この点、JOINS様等からもコメントありました通りだと思います。また、マッチングを通じまして、当初、我々が想定していなかったJOINS様の副業人材の活用などもそうですが、視野になかった手法というのも知ることができたというのも、この事業としてのわれわれの地域の、大きな成果かなと思っております。
当市は企業誘致を大きな目的として、私共は最初取り組み出したんですけれども、実際は、この地域の課題解決に今回ご協力いただいた企業3社の皆さんをはじめまして、真剣に取り組んで頂いたことで、地域の課題解決を軸として、様々な関係者のもと、産業振興の取組に広げられてきているのかなと、そういうことを今回感じております。
平沢:最後にですね。
ハンズオン支援のメリット等について、ちょっとお話させて頂きますけれども、民間企業相手だと我々行政職員にはよくあることなんですが、遠慮してしまったり、消極的な発言が多くなってしまうということがあります。
ただ、企業と自治体の間での認識の違い等も(ハンズオンの中で)指摘して頂きまして、企業とのやり取りが行いやすくなったと感じております。また、定例ミーティングを開催し、次回の目標設定を行って検討を進められたため、取組の目標内容が明確となったという点も感じております。
資料の点では伝えたいことを盛り込み過ぎてですね(笑)
要点が伝わらない点など多々ありましたので、そういった助言であったり作成のコツをアドバイスして頂けたことなどもメリットとして感じております。
3社の皆様からも継続して連携して取組をさせて頂くということもお話させて頂いておりますが、今後当地域で立ち上がりましたワーキンググループの活動もございますので、多くの関係者の皆様でこの課題に対して取組を進めてまいりたいと思いますので、また次年度以降もよろしくお願いします。
以上をもちまして、飯田市の発表とさせていただきます。ありがとうございました。
栫井:ありがとうございました。皆様、聞かれてわかるとおり、飯田市さんは本当に企業さんに誠実に向き合って、一緒にコツコツとスピーディーに進めて頂きましたし、行政のプログラムって、だいたい年度内に終わらせることになるんですけど、もう全部来年度に向けて継続して進んでいるということになってます。
それもこのプログラムの一つの特徴になってます。
Publingualでは、無料会員の登録をおススメしております。無料会員は以下の会員限定サービスをご利用いただけます。
✉️ メルマガで、新着・注目の記事をお届け!
👀 すべての無料会員限定記事の閲覧が可能!
・記事協力:長野県庁
・編集・ライティング・デザイン:深山 周作