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Publingualでは、官民によるオープンイノベーションである「官民共創」(官民連携を含む)の理解、アイディアのタネ、アクションの足掛かりになる優良な情報や資料をポイントを抑えて解説します。
本記事では、経済産業省が公表した資料『地域の持続的な発展に向けた連携体制構築のポイント |経済産業省』を解説していきます。
どんな人にお勧めの資料か?
- 地域課題を持続的に解決したい地方公共団体
- 地方公共団体との連携方法を知りたい民間事業者
この資料のポイントは?
この資料で紹介されている『地方公共団体が民間事業者と連携し、地域課題を持続的に解決するためのポイント』を3点紹介します。
- 地域課題が、民間事業者にとっての新たな市場に。
- 地方公共団体が地域課題を洗練し、オープンにすることが鍵。
- 地域課題の”持続的”解決には、5種の担い手『MAP’S+O』が重要。
それぞれのポイントについてより詳細に解説していきましょう。
1.地域課題が、民間事業者にとっての新たな市場に。
現在、地域・社会課題の複雑化・増加、財政の逼迫、職員のマンパワー不足等により地方公共団体が単独で従来のサービスを提供できる領域は縮小しています。
日本総研の分析によると、公務員一人当たり人口は減少しているものの、業務量は増え、時間外労働の支出は増えており、人口減少トレンドにはそぐわない形で、業務量が増えていると考えることができます。
一方、民間事業者がデジタル技術等のテクノロジーを活用することで、これまで企業が収益を上げることが難しかった領域や、地方公共団体が単独で取り組むことが困難な領域をビジネスとして成立させる可能性があります、
この地域課題と民間事業者のケイパビリティが合わさる領域に新しい市場が生まれていきます。
そのため、これまでのような『地方公共団体が定める仕様に沿った委託・受託の関係』だけではなく、地方公共団体と民間事業者の持つリソース・ノウハウを掛け合わせ、課題ドリブンの新しい政策形成、サービス創出がすでに多く誕生しています。
こうした公共分野、準公共分野にビジネスチャンスが潜在することについては、以前に当メディアでも取り上げた記事内で『官民共創の背景』として触れているので良ければ、ご一読下さい。
2.地方公共団体が地域課題を洗練し、オープンにすることが鍵。
前述の通り、地域課題はビジネスチャンスになり得ますが、それだけで連携が進む訳ではありません。
その地域課題が『ビジネスチャンス』と捉えられるよう洗練し、オープンにすることが鍵となってきます。資料内では『ただ、地域課題を発信しただけ』では、民間事業者にどう映るかが紹介されています。
繰り返されている内容もあるので、要約すると下記のような魅力のないものとなっているということになります。
- 検討に必要な情報の過不足(具体的ではない、説明が分かりづらい)
- 課題・連携内容が、不明確(何をして欲しいか分からない)
- 連携するメリットが不明確(連携する意義が感じられない)
- 熱意が伝わらない(本気度が伝わらない)
実際に官民のオープンイノベーションプロジェクトの中では、こうした伝え方・課題の洗練を支援するものも存在し、効果を上げている。
また、資料では民間事業者にとって『連携したい地方公共団体』に関するアンケートも行われています。これは、地方公共団体の担当者に限らず、民間事業者にとっても、連携しやすい地方公共団体の基準として非常に有用なデータになっています。
3.地域課題の”持続的”解決には、5種の担い手『MAP’S+O』が重要。
本資料では、”持続的”ということが重要視され、それを行う『体制構築』についても比重をおいて言及しています。
その軸に5種の担い手『MAP’S+O』の連携体制が提唱され、下記5つの担い手とされています。
■【M】マネージャー
地域の持続的発展に取り組む中核的な人材。
■【A】アグリゲーター
広域に対し、地域の持続的発展に資する製品又はサービスを供給する組織。
■【P】プレイヤー
マネージャー及びオーガナイザーに対し協力・連携する地域内外の組織・人材。
■【S】サポーター
オーガナイザーへ支援を行う地方公共団体。
■【O】オーガナイザー
マネージャーが所属し、アグリゲーター及びプレイヤーと連携して取組の中心となる組織。
この5種の担い手でも、中核となるマネージャー、そしてマネージャーが所属する組織(オーガナイザー)の創出には、地方公共団体(サポーター)の強力なサポートも不可欠であること。
そしてマネージャーの要件・要素、受け入れ地域に求められる対応について下図のように整理しています。
また、3つのケースによる事例も参考として紹介されています。
- 地方公共団体(サポーター)主導で連携体制を構築するケース
- 地域外の事業者(アグリゲーター)主導で連携体制を構築するケース
- 地方公共団体(サポーター)主導で連携体制を構築するケース
まとめ
本資料を要約すると「地域課題から、ビジネスチャンスを発掘、オープンにし、それを持続的に解決するため、地域の実情に合わせた『MAP’S+O』を構築していきましょう」ということだと思います。
要約の都合上、省いたエッセンスもありますので更に詳細を知りたい方は『地域の持続的な発展に向けた連携体制構築のポイント |経済産業省』をご参照下さい。現在(2022年12月27時点)、関連事例の募集も行っています
また、「具体的にこうした連携体制を構築したい」という地方公共団体の方や『行政機関と連携してサービス創出を行いたい』という民間事業者の方は、無料でご相談を受け付けていますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
本資料でも紹介された『チャレンジナガノ(成果|60者・157提案・95マッチング)』を始め数多くの官民共創プロジェクト支援で得たノウハウを基にアドバイスを致します。
出典・引用
- 地域の持続的な発展に向けた連携体制構築のポイント |経済産業省
- 地方公務員は足りているかー地方自治体の人手不足の現状把握と課題|日本総研
・編集・デザイン・ライティング:深山 周作