クロス・インキュベーションプログラムとは、官民垣根なく集ったメンバーが新しい政策・事業立案を生み出すため、実践の入り口である第0セクターと、官民共創を推進する株式会社Publinkによる、共創プログラム。
プログラムでは、参加者同士で「知の探索」「個社ワーク」「個人ワーク」のサイクルを繰り返し、価値の創造、新規事業人材の育成を目指していく。
そこで立案された政策や事業について参加者から語られました。
一見ムダに思えるようなものが人の生活を豊かにできる
株式会社日建設計 都市・社会基盤部門 伊藤 富代 氏(以下、伊藤):日建設計の伊藤富代です。
ダンスで人がつながる街づくりについて説明させていただきます。
伊藤:私は、仕事で国内・海外の都市デザインに従事しており、駅や広場などの公共の空間は人が出会い、旅立つ舞台のようだと感じています。利用者が数万人いるとすれば、数万人分のドラマがそこにあると思いながら場づくりをすることにワクワクしています。
また、ダンスを趣味としておりまして、音と一体となって体を動かし表現するのは人間の本能であり、ダンスをすることで心身ともに健康になれる、衣食住のようなエッセンシャルな分野ではなく一見ムダに思えるようなものが人の生活を豊かにできる、自宅やオフィス以外のサードプレイスでさまざまな人と接することで視野が広がる、ということを実感しています。
伊藤:ダンスを街づくりに掛け合わせてみようと思ったのは、数年前に「ダンスの楽しさをより多くの人に知ってもらいたい」、「ダンス人口を増やしたい」というダンス関係者の話を聞いて、自分なりのアイディアを思いついたのがきっかけです。
街の活性化には、インフラ等の環境整備に加えて、特徴ある産業や文化が必要です。
分散型社会におけるさまざまな個性を持つ中規模都市の一つのあり方として、ダンスで人が出会い、つながる街があってもよいのではないでしょうか。
文化的なアクティビティーをまちの設計に組み込む意義
伊藤:日建設計は設計事務所ですので、そこでダンスの話をしても、としばらく寝かせていたのですが、弊社が従来の都市計画や建築設計業務にとどまらず、開放型組織への転換を図り、異業種を含む外部プレーヤーと連携しながら社会環境課題の解決を目指していることがわかり、それならば自分のアイディアが「社内外の関係者の協力が得られるのか」、「実現の可能性があるのか」を探りたいと考えて本プログラムに参加しました。
ワークショップなどのイベントを通じて、公共空間でダンスなどの表現活動をすることの楽しさ、人とつながれる喜びを街づくりにつなげたいと考えています。
プログラムに参加して、まず国の機関の人が持つ情報量とネットワークの多さにとても驚きました。また、その情報を活かすためには、自分の勉強量やスキル、フットワーク、熱意が必要なこともよくわかりました。
また、ダンスによる街づくりに興味を持ってくれる仲間の存在自体がとても励みになっています。得られた繋がりとしては、ダンスでつながる街づくりに関係しそうな省庁、自治体、街づくり運営者。ダンスと類似した事例、演劇、アート、スポーツなどで街づくりに取り組む人たちです。ダンスというテーマで参加しましたが、得られた繋がりや情報が、結果として本業の都市デザイン業務にも役立ちました。
伊藤:ダンスを屋内広場や駅ナカなどの大空間でやりたいと思っておりまして、歩行者動線と近いことで活動の見える化がしやすく、サードプレイスづくりが可能な所を想定しています。そういった場所を活用したい事業者や、市民、関係省庁、ダンス関係者、日建設計で関わっていければと思います。
伊藤:実現へのステップとして、公共空間をエンタメ利用することに興味を持ちそうな自治体や企業にまずアプローチします。小さな企画を実現に持っていき、以降、これを繰り返し継続していきます。
例えば、公共スペースでダンスをやっている人がいて。そんなに上手というわけではないのだけど、すごく楽しそうにやっていたとします。真剣に楽しそうにやっている姿が、たまたま通りがかってそれを見た人の心に響いて、見た人は自分もやってみようかなと思ったりします。
伊藤:勇気を出して参加することで、今度は自分が表現者になって、広める人になっていく。これらを繰り返すことで、公共空間に文化的なアクティビティーが存在することはすばらしいという風潮を形成していきます。
気持ちよくダンスをするには、眺望がよく自然光が入り室内外の一体感のある広場空間が望まれます。こちらは事例です。
他には、持続可能な運営体制にむけて、サードプレイスとして居場所を作って参加者が運営にもチャレンジできるようにする取り組み、雇用創出や関係人口の創出のための方策、空き時間の広場の活用の仕方、金銭的な制度の活用方法等を検討しています。
伊藤:日建設計の役割として、例えばまちづくり会社をやってみるとか、諸制度を活用するところからのアプローチをしていくことで、ダンスで人がつながる街づくりが実現できるのではないかと考えています。
ダンスで人がつながる街づくりに興味を持っていただけそうな省庁、自治体、ダンス、エンタメ、スポーツ関係者の方。またそれと関係しそうな政策をご存知でしたら、ぜひご紹介いただければ幸いです。
ご清聴ありがとうございました。
株式会社Publink 代表取締役 栫井 誠一郎 氏(以下、栫井):伊藤さんは本当に最初から最強の熱意で、どんどん皆を感化させていく行動力の持ち主でした。
富山市役所の人とつながって、実際に富山に出張されたり、政府のイベント担当の人とディスカッションしたり。いろいろ活発に動いていただきました。
どうもありがとうございました。
登録して最新情報をチェック
Publingualでは、無料会員の登録をおススメしております。無料会員は以下の会員限定サービスをご利用いただけます。
✉️ メルマガで、新着・注目の記事をお届け!
👀 すべての無料会員限定記事の閲覧が可能!
・記事協力:第0セクター
・ライティング・編集・デザイン:深山