風水薫るときめきの郷「農」のある暮らし「たまにはぼーっとのんびりと」|チャレンジナガノ2.0 2024 DEMODAY #5

長野県が主催(運営事務局:株式会社Publink)する、長野県内の市町村が抱える課題を、多様な企業とのオープンイノベーションによって解決する取り組み「チャレンジナガノ2.0」」。

R3〜R6の4年間累計で594件の応募があり、288件のマッチングが成立しました。そして、地場産品のマーケティングや公共交通、六次産業化など、すでにプロジェクト化実績が出ているとともに、様々な分野で多くのプロジェクトが事業化に向けて進んでいます。
2025年2月28日に開催された『チャレンジナガノ2.0 2024 DEMODAY』の様子をレポートしていきます。

※本記事は、原則全文書き起こしとなりますが、イベントや話者の意図が一層伝わるように、一部(事務連絡、言い淀み、繰り返しなど)編集を加えております。
※記事内の肩書などは、イベント当時のものとなります。

泰阜村:風水薫るときめきの郷「農」のある暮らし「たまにはぼーっとのんびりと」

泰阜村 振興課 林 氏(以下、泰阜村 林 )
泰阜村振興課の林と申します。どうぞよろしくお願いします。

泰阜村 林:
まずは簡単に泰阜村の紹介をさせていただきます。泰阜村は長野県の南部に位置し、人口1,400人あまりの、コンビニも信号もない小さな村です。

泰阜村 林:
主な特産品は、こんにゃくいもから作った生芋こんにゃく、泰阜村産ゆずを使ったゆずチョコレート、村内にあるジビエ加工施設で作られたジャーキーのほか、生ハムなどの加工食品があります。

泰阜村 林:
宿泊施設の一つに、古民家を移築しリノベーションした「左京の宿」があり、檜風呂や五右衛門風呂を楽しむことができます。

泰阜村 林:
また、泰阜村には信州伝統野菜に認定された「源助かぶ菜」があります。しかし、年々生産が減少しているのが現状です。そのため、村では源助かぶ菜の種を村民に無料配布し、生産者の増加を図るほか、販路拡大等、源助かぶ菜を守る取り組みを行っています。

泰阜村 林:それでは、今回泰阜村がチャレンジナガノにて提案させていただきました地域課題について説明いたします。

泰阜村の地域課題は「遊休農地の利活用」です。人口減少により、高齢者問題、担い手不足、高齢化等により、村内各所で遊休農地が増加しています。そこで、遊休農地改善のための方向性として、①遊休農地を活用したい、②担い手を増やしたい、③関係人口を増やしたい、の3点を挙げました。

泰阜村 林:
泰阜村が企業様に協力できることは、農地のあっせん、空き家の紹介と活用支援、遊休農地の再生支援になります。

泰阜村 林:
また、遊休農地の活用にあたり、様々な村独自の補助制度もございます。具体的な例としては、空き家に関する補助金、荒廃農地復興に関する補助金、有害鳥獣対策に関する補助金があります。

泰阜村 林:
泰阜村では今回、遊休農地を利用した農業運営、家庭菜園付きリモートビジネス、特産品の生産、販路拡大に興味を感じてくれる方を含め、様々な提案をさせていただきました。

泰阜村 林:今回、各企業様から様々なご提案をいただき、その中から農ライファーズ(株)様、(株)Japan Navi様を選定させていただきました。

泰阜村 林:
まず1社目の農ライファーズ(株)様の選定理由としては、主に「コンパクト農ライフ塾」など、出口戦略を念頭においた成功する農業を学ぶノウハウがあることです。

また、遊休農地増加の原因は人口減少が要因の一つです。農業を志す人材、地域おこし協力隊の募集、集客を提案していただき、人に着目した切り口で課題解決に繋がるのではないかと考え、選定させていただきました。

泰阜村 林:
2社目の(株)Japan Navi様の選定理由としては、海外の需要が高まっている、ゆず製品の開発販売を通して、村でゆずの栽培を広げることにより、遊休農地を活用できるのではないかという提案があったこと。

また、インバウンドツアーを通して村内の観光施設、農園、ジビエ加工施設を活用することで、村内の経済活性化に繋がり、それにより農業者にもお金が落ちる仕組みができ、継続して農業ができることで遊休農地の拡大の歯止めがかけられることが期待できるのではないかという理由から選定させていただきました。

Publink 栫井:
ありがとうございます。では続いて(株)JapanNaviさん、2回目になります。どうぞよろしくお願いします。

株式会社Japan Navi:地域の遊休農地増加を食い止める、農産物加工品販路拡大に向けた取り組み・地域に賑わいを作るツアー企画

株式会社Japan Navi 渡邊氏(以下、Japan Navi 渡邊)
Japan Naviから発表させていただきます。会社概要は上伊那広域連合様の発表の際にご説明しましたのでスキップさせていただきます。




Japan Navi 渡邊:
今回弊社が泰阜村様とマッチングさせていただいて、いくつかご提案をさせていただきました。

1点目は、ゆずを使った加工品の海外向け販路拡大のご支援。それによってゆずの需要が高まり、遊休農地を活用することに繋がればというご案内をさせていただきました。そちらにつきましては、ゆずの生産拡大に向けてもう少し研究の必要性がありそうだというところで、今年度、次年度の動きではなく、もう少し様子を見るという結論になりました。

2点目のインバウンドツアーを今年度、来年度進めていければという事で、こちらの発表資料にはインバウンドツアーを中心にまとめさせていただきました。

今回、泰阜村様では「本物の田舎体験」というコンセプトで、インバウンドツアーを販売していくことに繋げていきたいと思っています。

このあとご説明しますが、弊社代表と泰阜村を訪問させていただき、村長様や佐々木様(振興課農村振興係長)から「泰阜村はコンビニも信号もない本当の田舎です」「都会に追随しない」という思いを伺いまして、他の地域にはない特徴だと感じましたので、そこを題材にインバウンドツアーを造成して販売することで、村の長期的な経済活性化に繋げていければと思っています。

今後の動きとしては、観光庁の補助金を活用しながら、サンプルツアーの造成やモニターツアーを実施し、1年目は販売準備が整うところまで進めていき、2、3年目で販売を実際にしていく、そこからJapan Naviで自走事業していければと思っています。

Japan Navi 渡邊:
いきなりインバウンドツアーをやりますというお話もしましたが、背景としては、弊社が新しい事業としてインバウンドツアーを販売するサービス「Japan Navi Journey」を立ち上げ、次年度からローンチするという背景がありまして、その事業に泰阜村様のツアーものせていきたいというところでご提案をさせていただきました。

今後の販売イメージとしては、まずは1泊2日、1組あたり3~6名ぐらい、大体15万円ぐらいの参加ツアーから販売を開始しつつ、同時進行で泰阜村様独自のオリジナルコンテンツを開発したり、高付加価値化、長期滞在化を含めてツアーをブラッシュアップしていきたいと思っています。

例えば、ジビエのツアーやデジタルデトックス、地域の方との交流などを含めてツアーを企画し、地域にお金が落ちる仕組みも含めて企画していきたいと考えております。

Japan Navi 渡邊:
今年度実施したこととしては、弊社代表と私2名で泰阜村様に実際にいかせていただいて、お話を伺ったり、少し現地も視察して、インバウンドツアーに商機を感じております。そこからインバウンドツアーのご提案に繋がりました。今は補助金の活用を念頭に、泰阜村様と事業のイメージ協議をしながら話を進めております。

Japan Navi 渡邊:
チャレンジナガノに参加させていただき、泰阜村様の強みとしては、弊社のようなスタートアップと言われるような会社に可能性を感じていただき、一緒にチャレンジしていきたいとおっしゃっていただいた姿勢が、非常にありがたいと思っております。

「田舎で何もない」からこそ挑戦の余白があると感じています。チャレンジナガノを通して、第三者視点でPublink様や長野県庁様皆様からご提案やアドバイスをいただいたり、補助金の活用についても、アドバイスをいただくことができました。2者の協議の中でも、自治体様側、企業側からの本音を引出して頂けるような場面もありまして、地域を発展させていく同志という気運を作りながらプロジェクトをリードして頂けたので、それがチャレンジナガノを通してマッチングしたメリットとして非常に大きかったと感じております。では私からの発表以上になります。

Publink 栫井:
ありがとうございます。では続いて農ライファーズ様、お願いいたします。

農ライファーズ株式会社:地域おこし協力隊および地域事業者向け「農村起業家」育成事業

農ライファーズ株式会社 堀江氏(以下、農ライファーズ 堀江)
皆様こんにちは。農ライファーズ株式会社の堀江と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

早速ですが、弊社の会社概要からご紹介します。私たちは農ライファーズ株式会社という屋号で、広島県竹原市にある限界集落に本社を構えて活動しています。


農ライファーズ 堀江
世界を農でオモシロくする。」と言うミッションを掲げておりまして、下の図のように、柱とする価値観としては、農業ではなく、「農」という文化価値を真ん中に置きながら、暮らしという要素と、商いという要素の2つをバランスさせた生き方を、次の世代に知恵として受け継ぐことを大切にして活動しています。

人にフォーカスを当てて、都市部から農村へリーダー人材を送り込むことで、持続可能なビジネスモデルを構築して、日本の農村の再生を目指して活動しています。

農ライファーズ 堀江:
主に3つの事業をやっており、1つ目は農ライフデザイン事業といいいまして、都市部で働くビジネスパーソンに対して、農村での農ライフの魅力をオンラインコミュニティとして学んでいくコミュニティ運営をしており、現在2,800名の方にご登録いただいています。

2つ目は農村起業サポート事業といいまして、農村で起業したい人を完全個別伴走型で確実に起業へ繋げる塾を運営しています。

3つ目は農村事業プロデュースといいまして、広島県竹原市にある人口320人の限界集落で、「田万里家」(たまりや)という社名で、米粉ドーナツ屋と宿を運営しています。

その他、自治体や企業から相談いただく地域活性化事業のプロデュースも行なっています。

農ライファーズ 堀江:
本事業では役場の皆様との話し合いを得て、2023年12月に事前視察に伺わせていただきました。2泊3日のスケジュールの中で、廃校を活用して若いチームでトマト栽培と市田柿の加工をされている方、農家や酪農家の方、協力隊卒業後にジビエの加工組合を立ち上げて、狩猟から加工販売まで携わっている方、かつて日本有数のこんにゃく芋産地だった泰阜村で、こんにゃく芋生産復活を目指して、加工と六次化に力を入れて取り組んでいる活動などを拝見して、地域の方々と様々な意見交換をさせていただきました。

農ライファーズ 堀江:
そして当初からご提案していた2つの事業について協議を重ねてきました。

まず1つ目は、地域おこし協力隊に関する事業連携です。

泰阜村では毎年地域おこし協力隊の採用がありますが、弊社が実施している農村起業塾を活用しながら、隊員の育成と起業支援、村内への定着を図っていくことを企画しています。

農ライファーズ 堀江:
2つ目は、地域事業者向けの事業コンサルティングやプロデュース事業です。

村内で既に事業を始めている方で、さらにスケールさせていきたいという地域事業者を対象に、弊社がブランディングや経営に関するプロデュースを行って、村内の農的な課題解決も含めて地域活性化に繋げていくという事業です。

事前視察では、人的リソースの不足や、ホームページ制作、販路開拓など多岐に渡る課題感をそれぞれの事業者の皆さんが持っていらっしゃったので、弊社の知見を生かしてサポートできればと考えています。

農ライファーズ 堀江:
長期的な構想やビジョンについてですが、1つ目の事業においては、既存協力隊員の育成定着と、新規隊員の募集連携について、役場の皆様との話し合いを進めている状況です。

2つ目の事業においては、財源やどの地域事業者を対象とするかというものをクリアにしながら、長期的な連携を検討しています。

横前村長も人材育成の重要性について認識されており、泰阜村のリーダー人材の呼び込みや育成を行って、人が人を呼び込む流れ作りを本事業に限らず今後も議論できればと考えています。

農ライファーズ 堀江:
最後に、本事業の振り返りです。チャレンジナガノ事業においては、自治体と民間それぞれのニーズや強みを踏まえて、重点推進枠のマッチング後も、皆様と円滑かつ深い議論を交わすことができました。

泰阜村様との連携については、弊社は人口320人の限界集落で事業を展開していますが、一見何もないと思われがちな農村でも、まだまだ多くの可能性が秘められていて、限界集落ではなく、むしろ無限大集落と捉えて日々挑戦を続けています。

泰阜村も人口1,400人弱の村ですが、豊かな自然だけでなく、温かな地域の皆様のお人柄が大きな魅力だと感じていますので、今回のご縁を機に今後も良い議論を重ねて事業化できればと考えております。ご清聴ありがとうございました。

泰阜村のコメント

Publink 栫井:
ありがとうございます。泰阜村さん、コメントお願いします。

泰阜村 林:それでは、今回の取り組みについての感想でございますが、企業様の提案が、村の課題に対して、十分活用できていなかった資源に、様々な角度、切り口から提案いただきまして、なるほどと気づかされることがありました。

また、様々な提案がある中で、当初の課題がブレないように、村の課題を明確にしておくことは大事だなと感じました。

その他に、事業を行う上で予算、財源が必要となってくるわけですが、当初のピッチの際に、活用できる国庫補助金などを、ある程度明示できれば企業様の提案の一助になったのではないかなと感じました。

泰阜村 林:
チャレンジナガノについてですが、今回初めて参加させていただいたわけですが、課題解決のために、自治体が単独で企業様を探すというのはなかなか難しいところもございまして、この制度で一括で行えたことは大変良かった、ありがたかったと思います。また、十分活用できていなかった資源も一歩前進させることができたのかなと思っています。

最後に、長野県様とPublink様が間に入っていただいたことにより、村も安心して企業様の提案を聞くことができたので、大変助かったと感じております。

Publink 栫井:
ありがとうございました。泰阜村チームでございました。以上で重点推進枠のグループ4つが終わりました。

ここから1つ5分プレゼンということで、パートナー枠の市町村チームと、重点推進枠の中でもプレゼンだけしていただくところで進めていきます。

では、飯島町様お願いいたします。

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